スペイロッドを竹竿で作るとき、1番困ったのはフェルール。ニッケルシルバーが定番だが、スペイロッドに合うサイズがなかなか売られていない。売られていてもとても高価なもの。スペイロッドを竹で作るには、フェルールを旋盤で自作するしかないのだろうか?ここから試行錯誤が始まった。
比較的安価なものとして、最初は真鍮パイプだった。決して悪いものではないが、なんとなくしっくりこない。また、金属との接合部分で折れやすいようだ。
次はカーボンパイプ。これは中々良かった。ただ、直径の単位が1ミリ単位なのもあり、ブランクを大きく削らないとならず、そのときにできる段差からポキポキ折れる。初期のロッドを友人に試してもらったら、ほぼフェルール周りにトラブルが出る。スペイキャストの捻じれと負荷に耐えられないようだ。また、擦り合わせが難しく、きつくするとブランクからフェルールごと外れてしまうことも。色々補強しながら悩む毎日。
段差が問題ならと、貼り合わせのバンブーフェルールはどうだろうか。これにカーボンファイバーチューブを被せて補強、エポキシで固める。意外なほどに簡単に制作でき、中々のフィット感と強度がある。貼り合わせのトラブルでフェルール自体が折れてしまったことはあるが、ブランク自体は段差をつけないので折れることはない。やり直せば良いこと。ただしフィッティングが難しい。もっと精度の高いフェルール加工ができればよいのだろうが、振り回したときにどうにもフェルールの鳴きが気になる。ついフェルールが長く、太くなってしまう。また、使用中、使用後で微妙にフィッティングが変わる。バンブーという素材の吸湿が鳴きのもとなのだろうか。それでも、もっと精度の高い加工ができて技術的に詰められればバンブーフェルールに課題解決の可能性を感じる。
ここでコンポジットフェルールを試してみた。Bob Clayが紹介していたもので、元のアイデアはTed Barnhartのユニバーサルフェルールにある。これは実際の竿の形状に合わせてカーボンファイバーからフェルールを成形したもの。ブランクの接合にあたって接合部分を削って段差にすることもない。これが素晴らしく良い。スムースさ、強度、フィッティング、スペイキャストへの耐性、考えられる課題を高い次元で解決できる。
左がバンブーフェルール、真ん中がコンポジットフェルール、右がコンポジットのオス部。
自分としてはこれが現在バンブー素材のスペイロッドに一番向いたフェルールと考えている。それでもBobはこのフェルールはドライライン向けとしている。やはり負荷のかかるスカジットラインや重いシンクティップには、スプライスドジョイントを勧めているようだ。スプライスドジョイントの接合性能は抜群だけれども意外なほどに人気が無い。不思議。
まだまだ試行錯誤が続く。悩んだ分だけ、課題の解決が見えたときに達成感も大きい。これら一つ一つが自分のスタイルとなることだろう。バンブースペイのテストと竿作りは続く。
0 件のコメント:
コメントを投稿