2024年6月19日水曜日

彷徨う

 いよいよベストシーズン、欲深い釣り人は北に東にと忙しい。その分釣れるのか?というと疑わしいもの。

この時期はウグイが多いことを忘れていた。生命感を感じるのはほぼウグイ。なかなかのファイトにジャンプまでするものだから慌ててリールを巻き取るとドロッパーにダブルで掛かっていたり。ウグイの首は短い。たとえ重くても首振りが小さいのはほぼウグイである。

悔しいのは首を大きく振って銀色の魚体を見せる魚にはかなりの確率でフックアウトされてしまうこと。

なかなか狙った魚にであえないと虚しくなることもある。キャストがおざなりになることもある。ただ、気づくと釣りをしている時間は以前より格段に増えている。


帰る前には良いキャストとスイングができた。すると珍しくイトウの幼魚が来てくれた。


日帰り遠征の翌週。金曜日昼から休みを取って東にむかう。SNSで知り合った方とコンビニで落ち合って釣り場へと向かった。残念ながら最初の場所は増水して釣りにならない。次に向かったところは夕暮れということもあり雰囲気はよい。先に釣り下ってもらいながら。とても気持ちの良いキャストをする方で、岸際まで丁寧に探っている。上手な人の釣りを見るととても刺激を受ける。しかしここでもウグイが基本となった。

下のランを後ろから流しているとき。根掛かりのように止まって首を振り出した。低いジャンプをしつつトルクのあるファイト。しかし強烈な疾走などはない。ジワジワと糸を引き出す感じ。もしかしてウグイ?半信半疑ながら、そのトルクからイトウのファイトを連想してしまう。

意外なほどにすんなりとよってきた魚だった。ネットもないので岸際にてハンドランディングできた。





想像以上に立派なニジマスだった。今年のトロフィーと言える魚との出会いに感謝。

OPST comandgroove325gr type2-4tip10ft


その後は夕暮れを迎えて終了、次の日はどこも人が多くて苦戦。もう自宅へ帰ろうか。釣り終えたあとの食事中にキャストやラインの話をしていたら、もう一泊して居残りをしたくなってしまった。

朝1だけ。ひと流ししたら帰ろう。念じるように釣り場に向かって竿を振る。

昨日よりも水が減ってつりやすくなっていたのもあり、対岸の際できた。

いつもより小さなヒゲナガをイメージしたフライで狙ったとおりにでた。この満足感がまた次の釣りへとつながる。



2024年6月10日月曜日

初夏2024

 はじめに入った場所はかなり濁りがきつい。流れや水位は変わっていなかったが、上流で工事をしていたのが気になる。

大きく場所を移動しての3か所目で、車が2台止まっていた。

他にあてもないので迷ったが、様子を伺うだけでもいい。降りてすぐ下流に人がいたので声をかけ、上に入らせてもらった。

虫を意識したいところで、あえてトラウトイントルーダーを結ぶ。程なく流し終わりでグンときてしめしめと思う。するといきなり二連発で大きく跳ねる。魚体は太い。気づいたら上流に凄い勢いで上がってくるのでリールなんか巻いていられない。ネットそばまで来たと思ったら、そこから凄い勢いで下流に向かう。サイズはそこそこ、しかしこんなファイトは久しぶりだ。どうにかいなしてネットイン。この満足感がたまらない。




このサイズならではの疾走感を心から楽しみ満足する。待ちわびていた初夏の釣り。今年も始まった。

2024年5月20日月曜日

春の終わり

 島に渡り毎年の場所へ。ワカサギは群れているだろうか。

例年より雪解けが早く、気温が高めに推移したせいなのか、すでにワカサギは岸寄りしているとのことだった。



細長いシルエットが覗き込んだ岸際に浮かぶ。久しぶりのベイトの群れに心踊らせる。しかし、群になって泳ぐというよりも昼寝しているかのようなリラックス具合だった。このワカサギが群れている前で釣りをするのが魚に出会うための近道かもしれない。

まだ朝早く風が弱い間になんとかバンブーロッドで一匹に出会いたい。そんな願いも虚しく時間ばかりが過ぎていく。



その後昨年良かった切り株際を狙いに彷徨う。そしてノーコンタクト。中々思うようにいかない。ラインが軽いからだろうか。S12に変えると根掛かりが圧倒的に増える。今日二匹のイトウに出会えた友人はダンベルアイが効く、と言っていた。どうやら底を取るのが有効なようだ。

風で岸際に濁りができた中、ワカサギたちが急に群れをつくって怯えたように泳ぎだす。もしかすると捕食する魚から逃げ惑っているのだろうか。良い雰囲気でも釣れない時間がすぎてゆく。諦めかけた夕暮れ時になんとかサクラマスに出会えた。この一匹で満足、と竿を畳んだら、その後に別の友人にもイトウとの出会いがあった。しまった、あともう少し続けていれば。なんともタイミングの合わない日だった。まあ、1年に数回しかない釣りだから、中々呼吸を合わせるのが難しいかもしれない。

その翌週。

今日は風が強くていつもの場所では釣りにならない、という友人たちのアドバイス。渡船の中野さんにお任せして、この風でも釣りになる場所へ渡る。

すでに朝から風が強い。それでもちらつくワカサギたち。大きな群れはない。左回りと右回りで別れて釣りをするも、結果どちらも行き止まりとなって戻ってきた。初めての場所で皆戸惑い気味の様子。

いよいよ風がついてきたので、風裏のところをひとり彷徨う。切り株が突き出ているあたり、なんだか良い雰囲気がする。すると、切り株の水際が不自然に盛り上がった。これはベイトを追いかけるイトウの残影では?



万が一の可能性にかけて切り株の間にラインを通す。すると数回のうちに根掛かり、いや動く根掛かりとなる。首を振る感触は紛れもないイトウのもの。何度も脳内再生したように合わせを入れる。一気に走るということはなかったけれど、相応の重量感を竿に感じつつ、無事ランディングできた。



62cm。サイズからみてまだまだ中学1年生かもしれない。ただ、バンブーロッドでイトウ釣り上げた、と言うには十分な大きさだった。




みなポイント探しに手こずっているだろうからとLINEで情報を送る。程なくやってきた二人の友人にそれぞれイトウとの出会いがあった。正解はこのあたりだったということか。

岸際にはワカサギはいなかった。あとからきた友人によると、朝はこのあたりでワカサギが群れていたとのこと。イトウやアメマスなどの捕食魚がやってきて、物陰にかくれたのかもしれない。



重めのフライをつけた友人は絶好調でコンスタントに魚をかけている。

カウントダウン中に沖でバラしたという、ゆっくりリトリーブする別の友人は、キッチリフライをターンオーバーさせている。

中々イトウには会えない友人のバックハンドキャストは、風の中でも安定したキャストとなっていて勉強になる。

いつも釣り場では一人が多いけれど、春のみんなででかける釣りは、様々な情報交換とあわせてとても勉強になる。自分もターンオーバーをきっちりさせてゆっくりリトリーブさせようか。焦らずカウントダウンも忘れずに。

釣れずに彷徨い歩いたあとの夕暮れ時。カウントダウン中に、モゾッと違和感。突然の重み。首を振りだした。あ、イトウだ!しかし竿に感じた重みは程なく軽くなってしまった。しっかりと合わせをいれればよかった。

後悔先に立たず。そしてこの後悔がまた来年の訪問に向けた動機づけとなる。妄想でつくられた光に透けるボディを持ったフライがイトウに咥えられたというだけで良しとしよう。



釣りの終わりにボンヤリと定位する岸際の一匹のワカサギをみながら春の終わりを想う。過酷な春の大物シーズンの終わり。この1日の終わりに強い日差しに焼けた顔のほてりをかんじつつ、いよいよ初夏の釣りに向かう。


2024年4月24日水曜日

湿原のマッチ・ザ・ベイト

 潮が引き始めた水溜まりに目を凝らすと、鮭稚魚サイズの茶色い小魚が目に入る。ピンピンと跳ね回る様子に気を引かれる。 友人たちから、ゾンカーが良いとかオリーブが良いとか聞いた週末の帰り道。78cmを捉えたというフライはオリーブシルバー。サイズも色合いも跳ね回る小魚に似ていたのが印象的だった。
 川の流れに立ち込み、もう少しさきにと進んでいく。干潮はもう一歩をふみこませる。そしてある一点から浅くなり、膝上ぐらいとなる。そこは鳥たちの捕食場でもある。釣れないわけではない。浅瀬に流し込んだときにも反応があった。 
 自分たちは遠くは深いと思っている。もっと深みを求めて遠くにキャストしている。もっと前にでる。でも、キャストの先は思ったよりも浅い。そこに大型がつく。するとこの浅瀬にアメマスがクルージングして浅瀬の小魚を狙っているのではないだろうか。 このあたりだとインターでも底をするし、カレイもよくかかるのは納得。
 少し上流に向かうと急に深くなってタイプ1/2でも軽く感じられるぐらい。そして深いからと言って魚が溜まっているというわけでもない。干潮にあわせて少し上に群れが移動してくる様子はあったが。 3回の週末で、魚が極端に溜まるの場所が一箇所だけあることがわかった。その中でのアタリフライを考える。

 先週までのヒットフライやその要素から仮説を立ててフライをまく。一番の期待はゾンカーだった。しかし釣れない。一週間前の小魚たちが消えたのか?それとも浅瀬に群がる鳥たちが狙うのは白魚になったのか?白系のみポツポツあたりがある。

 1週目はチャートリュース、2週目はオリーブ、3週目は白系?隣で入れ食いとなっているフライマンのフライを盗み見ると、細長い白いフライだった。自分の中での答えが見つからないままフライをローテーションする。こういうときは誰も使わないだろうフライを流してみるのはどうか。すると思った通りに反応があった。

 魚は人間と同じ色彩認識はしないだろう。そして水中からみあげたシルエットや光の透過具合、ユラメキなど総合して反応しているのでは?イントルーダーのような威嚇するようなフライをして縄張り意識での
反応、という人もいるだろうけれど、自分は魚を誘惑する要素が多いことや小魚にも見えるように思う。フライサイズだけ見てもミノープラグや、ベイトとなる小魚サイズより極端な差はない。
 マッチ・ザ・ベイトを考えながら、抽象と具象のあいだを行きつ戻りつフライ巻き貯める。そして現場での直感と妄想。数が釣れなくとも、これがはまるとたまらない。充実の1日となった。

2024年4月16日火曜日

凪の中

思っていたよりも早く着く。まだ満潮なのだろう。下流への流れは止まっているはず。
着いたときには霧の中だった。 朝もやを風が吹き飛ばすこともない。トロンとした流れが霧の中を進む。これから干潮に向かうとき。流れが少しずつ進んでいく。上流からの岸際の蘆や枝葉が塊となり流れていく。 流れに立ち込み杭となった自分にまとわりつくのを振り払いつつもキャストを続ける。 対岸に投げて馴染んだあたりでアクションを加えつつ。流しきってからリアクションを誘う。 それでも流す位置を考え、どこであたりを狙うか。 今回はタイプ12のアトランティックサーモンショート350gr風が無ければ抜群のターンオーバー、早い流れにもしっかりとなじむ。
奇をてらってパープルのフライ。しっかりと咥えてくれたのは嬉しい限り。 昨年苦戦したバンブーロッドは、今年はしっかりとツールとして活躍してくれた。
干潮でも水位が低いせいか逆流はなかった。 珍しく60サイズのアメマスラッシュに出会えたこと。心から感謝。そして満足しきってない自分は今週も向かうこととする。

2024年4月7日日曜日

風の中

 微風の中ゆったりと流れる水面に、ポワーンとライズ、たまに食いあげるようなモジリ。1年間夢見ていた風景がそのまま広がっているのを見て、今日はもらった、と確信する。

このフィールドに、ふたたび立つことができたことに心から感謝する。


シーズンオフに巻きためたフライ。何色が良いのだろう。明るい天気ならチャートリュースがいいのだろうか。シーズン初期のまだすれていないときには特に有効だろう。想像の中で巻き上げたフライにはまだまだ自信が持てない。


妄想にあったフライを現実のものとする。最初に結んだ大きめのフライで、1キャスト1ヒットとなった。こういう釣りがしたかったんだと、興奮しながら釣り続ける。なんだか自分だけのヒットフライを見つけた気分だ。これで今年の一軍フライとなった。


太い体、大きな尾びれ。遠投してたるみをとったあと、スイング中にガツンとひったくるのもあれば、小刻みな早めのリトリーブを追いかける様に反応する魚もいる。ラインが流れに入り込み、流れの重さを感じられるところの反応がよい。



二日目は竿が立てられなくなるぐらいの風の中。だんだんと強くなる風の中、7Mぐらいの風。それでもフォローの風向きを利用したキャストで十分釣りになった。420grと、重めのスカジットラインが良かったのかも。竹竿には悪いのだけれど、竹竿の虐待検査となった。これだけ重いラインを風の中で振り回してもバンブーフェルールは破断することがなかった。


腕や肩が痛くなり、手もパンパンに浮腫む。身体のあちこちが痛むなか、今回の釣りを思い出しながら、すぐにでもまた釣りに行きたくなる。竿を作りたくなる。フライを巻きたくなる。心から楽しめた釣り旅だった。


2024年4月3日水曜日

ローウォーター

 最初に来たのは何年前だったろうか。初めての本流、初めてのダブルハンド。群れているアメマス。スイングでの釣り。人も多かったけど魚も多かった。オーバーヘッドの釣りのため河川林が鬱陶しかったけれど、その分町中にも関わらず自然の中で釣りをしている雰囲気がたまらなかった。増水や濁りがなければ行くと必ず釣れる毎年通う川だった。

ある年河川林がほとんどなくなった。隠れていたポイントが現れたりバックスペースが取りやすくなったものの、あの雰囲気がなくなってしまいなんだか悲しくなった。そして魚も急に薄くなったような気がした。

何度か通っても中々アメマスに会えなくなった。今年こそはと通うものの、釣れないものだから回数も減ってしまった。それでも来てしまう。さて今年はどうだろうか。

今年は3月に入って増水がほとんどない。もう末だというのにローウォーターの水位。これはかなり珍しい。いつも増水していると怖くて踏み出せなかった一歩が行ける。どこがブレイクラインかわかる。これは増水したときにも役立つだろう。せっかくなのであちこちまわってみる。

風はあまりない。寒さもほどほど。スプライスドジョイントにを振り回すテストには中々の条件である。


河川林も少しずつ戻ってきただろうか。ようやく人工物が隠れ始めている気がした。


もじりや魚の雰囲気は感じられない。全体トロンと平面な中、ブレイクラインを探しつつ、対岸にキャスト、じっとスイングを待っている間にモゾッときた。よく育った太いアメマス。
竿の弾力をフルに活かし、ジワジワと糸を巻き取る。強引な寄せはせず、魚の首振りからサイズを想像してニヤリとする。水面に姿を見せた水玉がアメマスを確信させる。
ようやくこの川で会えた。とても嬉しかった一匹。

翌日はバラシた魚が一度きり。帰りがけ、この時期には上にいないだろうと思いつつも、宿屋の主人の話を参考にしながら入ってみたポイント。ここでも会えたのは本当にラッキーだと思う。この時期この場所で何年も会いたかった魚に会えるということ。



バンブーロッドでお気に入りのリール。明るい天気と透明な水色から透明感を感じさせるフライセレクト。すべてはまった満足感。

今年の釣りがようやくスタートした。