2023年3月29日水曜日

はじめてのバンブーロッド

 恥ずかしながらバンブーロッドで魚を釣ったことはありません。

ゆっくりとしたラインスピードとか、バンブーロッド独特のキャストフィールとか、パラボリックなアクションとか、魚をかけてからの繊細な感触とか、あげたら切りがないほど賛辞は続く。しかしながら、そのどれも未体験なのに竿を作りはじめた。しかもいきなりスイッチロッド。



つくってから、バンブーという素材の魅力に気づいた。グラファイトではなかったこととして、ブランクをいつまでもいじっていたくなること。変態か?自分。元々銘木で何かを作るのが好きだったが、木目とはまた違う竹の趣、模様。加工過程で表情を変える面白さ。これはグラファイトのブランクではなかった。

ようやく春になり、仕事のついでに川で竿を振る機会があったのだけれども、生憎急な暖気で雪代大増水中。危うく入水自殺になりかねないポイントを外しながら、僅かながら魚の気配を感じながらポイントを彷徨う。多少の風のなかでもキャストフィールは上々。これなら十分釣りになる。そして思っていたよりも重さは感じない。竿について感想を思案していたとき根掛かりのような重みが乗った。


一瞬のダッシュのあとはひたすら重みを感じつつ、ジリジリとこちらに寄ってくる。首振りはない。そしてなかなか顔をあげない。あ、スレだ。しかも極太のアイツ。この川はアメマスだけでなくウグイも極太に育てるのか。
こいつを寄せられたのなら、海のカラフトでも使えそう。いや、つかわないけどね。


使用感、釣り味は正直わからない。ただ、自分で作った竿を振れる喜びは何ものにもかえがたい。そしてわからないからこそ、もう少し良い竿を作れるはず、もう少しティップを繊細に、グリップはもう少し長くても、とか色々欲が出てきた。

ああ、これがバンブービルディング沼の始まりか。

この沼に頭まで浸かろうと決意した次第。

2023年3月22日水曜日

学びと実践

 Mostly Bamboo という本を読んだ。

竹竿を作り始めたころ、ロッドのつくりかたについてハウツーのサイトを探す毎日だったが、いつしか大事なことはハウツーには出ていないことに気づいた。例えばカンナやロッド製作ツールで悩んでいたときにはエバーロッドさんのサイトが参考になったり、真竹の柔らかさや癖に手を焼く焼いていたときには朝間ロッドさんのブログが本当にためになった。お二人共プロのビルダーさんで、いわゆるハウツーではないです。それでもわかりやすくご紹介いただいていることに、一本つくってから気づきました。

例えばバインダーのエンドレスロープにバンコードを使う、というアイデアは、エバーロッドさんの一枚のバインダーの写真からパクらせていただきました。バンコード、という単語を知るだけで検索世界では解決に相当近づく。その一枚の写真からどれだけ想像力と実践を積み重ねられるか。エンドレスロープに悩んでいた自分にとってはとてもありがたいわけで。当然のことながら、バンコードを熱してつなげる、ただそれだけの行為が初めての人間には、接続そのものがプチ障害となる。それをまた調べて、実践、そしてようやくつなげられたコードがバインダーに使えるのか。それもやってみないとわからない。プロトタイプをそのまま使っているバインダーのせいか、それともエンドレスロープが悪いのか。うまく行かない理由を一つずつ潰していく。

アイデアをいただけるだけでも大感謝なんです。カーボンフェルールいいよ、と先人に言っていただけるたけで先に進めます。たとえとりつけたフェルールにガタツキが出ても自己責任。コミ合わせでなんとか調整する。そんなところまでは当然書いてなんかいない。口をあけて待っていても誰も教えてくれないし、いくら検索しても正解なのかはわからない。やはり実践してたしかめるしかないのか。ただ、すでにやられている人がいる、それだけで取り組む勇気がわく。何でも教えて、だとなかなか先に進めない。

じつのところ一番の肝は0を1にすること。長年取り組まれている方達はそこが凄い。そんなアイデアが満載なのがMostly Bamboo。著者がビルダーさんに取材を繰り返してできたこの本は、英語だが日本語訳つき。それぞれの写真にとてもインスピレーションを感じます。プロの仕事場の写真がとても貴重です。

少しの貴重なヒントをいただき日々の実践を繰り返すこと。これが今の楽しみのひとつてす。