2026年9月27日日曜日

表現

 ワインの楽しみ方には色々あるが、その一つにはワインに対しての表現がある。「黒い果実味」とか、「スミレの花の香り」などの要素をどれだけワインから感じ取れるか、というものらしい。決して「草原の奥に見えた女性の顔」とか言うものではない。  
 先日見たワインについてのYouTubeで、これができたら楽しみ方が中級者、というのがあった。否定的なストレートな表現をポジティブに表現するというもの。
 例えば、 「酸っぱい」ではなく、「酸が豊か」 「渋い」ではなく「豊富なタンニン」など。 たしかにひどいワインの格が上がる気がする。 

 本流釣りだとどうだろう。 
「曇り空」→「1日中チャンスがある天気」 
「秘密のポイント」→「ミッフィの口を守りたくなる釣り場」 
「先行者がいてがっかり」→「人気がある実績ポイントなので人がいても釣れる」
「案の定釣れない」→「流れや地形が把握できたので次は釣れる」 

 つなげてみる。  

「寝坊して着いたら曇り空。先週見つけたはずの秘密のポイントには、先行者が2名もいてがっかり。あとから2度も流したが案の定釣れない。」  
「気温が下がってゆっくりと家をでた。日差しが秋にかわり、1日中チャンスがある天気だった。先週見つけたミッフィの口を守りたくなる釣り場には、先行者が2名もいた。人気がある実績ポイントということなのだろうから、先行者がいても釣れるはず。2度ほど流して流れや地形を把握できたので、次回は釣れる。」 

 このポジティブさが本流釣りには必要ではないか。
 そんなことをブツブツ言いながら昼ご飯を食べて次のポイントへ向かう。先行者が1人ならやってみようかと念じながら着くと、誰もいない。もうすでにやり終えたのだろうか。これはチャンスとばかりに仕度をする。  
 減水気味だが悪くない。インターのスカンジラインにファストシンクのポリリーダー、実績のあるドロッパーシステムで頭から流す。アンカーが切れ気味だが、うまく行くと平行なループができてとても気持ちよい。シングルスペイは何度やっても飽きない。厚い流れではほとんど根掛かりもないので、ポリリーダーサーモン8ft/spFastに変更する。何年かまえにこの時期何度も大きなのが釣れた配色のイントルーダーに結び変える。強い流れに立ち込んで奥にできた流れの筋にラインを投げ込み、何度もメンディングしながら手前の筋との間を丁寧にトレースする。  
 半ば諦めもありつつ、今の状況をポジティブな表現にしたらどういう状況かな、とぼんやりしていたら、ドスンと根掛かりのようなあたりがきた。強い流れのなかで留まって首を振り、大きく竿をバウンドさせる魚。やっぱりいた。この瞬間が強烈に嬉しい。下流に走り出したりはしないが、底について離れない。絶対に獲りたい。ゆっくりと距離を詰めつつ下のたるみに誘導して、ランディングできた。  
 サイズこそ50cmはなかったけれど、体高が高く綺麗なメスだった。
 これがあるから本流釣りはやめられない。経験者ほどポジティブになる理由が少し分かった気がする。