2025年7月21日月曜日

微妙な違和感

 オリジナルフライと言ってよいのか。好きなパターンの色やマテリアルを変えながらタイイングを楽しめるようになった。


 ある川ではあの色が良いとか、スチールにはパープルとか、色々聞くけれど、それは川によるのではないだろうか。自分の中ではこの川はオリーブが圧倒的に効く。川底の石の色と水の色と同化するかギリギリのところ。それにオレンジのボディやワンポイントをいれる、もしくはビーズやコーンヘッドだって良い。もしかしたらシルバーのタグをチラリと見せるとか。それを水の中で泳がせたとき、藻が絡まったのと同じでは無い微妙な違和感というのが肝なんじゃないかと思う。

 全く同化するナチュラルカラーだけでは目立たないし、派手すぎだと見向きもしない。少しずつマスが好むだろうカラーや動きをだすマテリアルを入れる。


 ディーフライのクラシカルスタイルに憧れていた。しかしながらあのままではなかなか川で手が伸びない。でもあのフラットに開いたウイングはゆったりとした流れで安定した姿勢を保つのでは?と前から興味があった。たまたまグレイ・イーグルというディースタイルのパターンがあるのを知って、ウイングはそのままに黒のマラブーやヘロンに変更してみたら、濁りが収まりかけた川で抜群に効いた。グレーのマラブーではダメで、黒が良かった。ターキークイルとワンセットになったフライが、微妙な違和感を演出する。シャンクが長いのでバラしも多かったけれど、自分の中では1軍のフライパターンとなった。

 こういった仮説と検証はフライという釣りを抜群に面白くする。


2025年6月23日月曜日

欲しかった魚と必要な魚

 最近のAIの進歩は凄まじい。海外のYouTubeで何を言ってるのか分からなかったのが、日本語に自動翻訳される。もちろん違和感のある日本語だけれども、ジョークを言っているのだろうな、というぐらいはわかる。

 あらためてキャストを解説した動画や、南半球を探索している動画を見たりして、新鮮な感動を覚える。だって、つまらない釣り番組や、消化不良になるような野生動物の番組よりはずっとワクワクするからね。

そんな動画を観ながらついた釣り場では、当然思うようなキャストはできず、調子は悪いまま、それでもと彷徨う一日。


釣れた話よりも釣れなかった話のほうがみんな面白がる、なんて言われても、やっぱり釣りたい。昼寝を挟んで、現地で行き合った釣り人と色々な話を交わしつつ。
「じゃあ、最後にあそこに行ってかえります。」
そう言って別れた先の釣り場でのこと。
ぱらつく雨の中、急に魚のスイッチが入った。
30センチにも満たないニジマスが連続でひったくる。瀬尻の緩い流れでマッチザベイトにあわないようなフライに連続で出る。そう。こういう釣りをしたかった。
その先のポイントで、いつもは諦めるところでガツンときた。激しい首振りから下流へと疾走し、けたたましいパーフェクトのリールを鳴かせる魚に、ようやく出会えた。

サイズこそ目標の50アップではなかったけれど、この間出会いたかった魚にようやく。

オーストラリアのフィールドを紹介する動画でも、ようやく出会えた魚についた日本語訳がその時の心境にピッタリとハマった、欲しかった魚と必要な魚。今日の自分には間違いなく必要な魚だった。


2025年4月7日月曜日

East Char

 同じアメマスでも顔つきや体型だけではなく性格も変わる。


朝一は穏やかな1日目。その後5メートルまで風は強くなった。スカジットラインでの釣り。竿はBanboospey11'6"

FHI375gr/TipINT




2日で70クラス四匹。釣っても釣っても果てのない釣り欲には自分でも呆れてしまう。だって80クラスはまだ釣れなかったからね。



風で煽られた濁りの中、ロングテールのイントルーダーがこんなに効くとは思わなかった。いつまでも発見がある。

思う存分に楽しんだ週末。そしてもうすでにウズウズしている自分がいた。

2025年3月27日木曜日

Spring White spotted char

 春まで竿作り。


Banboospey 11' #56 320-420gr
OPST 325gr Tip100gr
バットが太い分強めに感じるしっかりとした竿になった。




Banboospey 11'6" #678 360-460gr
FHI375gr Tip80gr / ATL ST460gr INT
ミドルセクションからしっかり曲がるが460grでも十分のせられる。アトランのヘッドはもう少し軽いほうが良かったか。スカジットラインはベストマッチ。今までにない飛距離が出た。

久しぶりのコルクグリップの感触。試しに塗った保護剤の違和感がないかを確かめる。特に集成コルクは何もコーティングしないと汚れがすき間に入り込んでしまう。今回は予想よりも自然で使用後の汚れも付きづらかった。


泊まってからの朝一。
フィールドの気温はマイナス5℃
水につけてしまったリールが凍る。ガイドに氷の塊がまとわりつく。風が無くて助かった。



水面に虫はいないが時折水面に波紋をつくる。魚はいるようだ。白っぽいフライをゆったりとした流れに、ライン先行で流す。スイング中に重くなり、首を大きく振った。竿の曲がりも寄せる力も問題なし。この時期ならではの魚を狙い通りに釣ることができ、とても嬉しい一匹となった。

場所を変えて彷徨う。




サイズこそ大きくないけれど諦めながらも釣りをやめられない中での魚は、驚きと気持ちのリフレッシュになった。
その後同じ場所であたりはあったけれど針掛かりせず終了。なぜここに集まっていたのだろうか。
脚元を見ると鮭稚魚の群れが逃げまどっていた。春のアメマスでのマッチ・ザ・ベイトとなったようだ。

2024年12月17日火曜日

リールシート フィラー

 

以前は貸工房で旋盤を借りて加工してた。


現在は自宅でできるようになった。

12mmドリルで穴を開ける。ネジ棒を入れてナットで固定。いきなり削らないでカンナでの荒削りがポイント。




あとはひたすらヤスリで削るだけ。



アメリカ製高級リールシートもピッタリ合います。


下地処理して塗装。


良い模様がでてくるのでワクワクします。
もしかしたら竿作りで一番好きな工程かもしれません。



2024年11月15日金曜日

イントルーダー 

 前は自分で考えたフライなんて釣れたもんじゃなかった。工夫を加えるほどに酷くなる。だからマテリアル含め可能な限りコピーするのがスタイルだった。

それでも自分だけのフライというのが欲しい。よく釣る人や、カッコの良いのを見つけては自分なりにアレンジする。作るほどにフライボックスにはゴミが溜まる。それでも、1級ポイントを前にして、オリジナルを結ぶことはなかった。どうしても魚が欲しかったから。釣れる気がしないオリジナル。

転機になったのは小さなトラウト向けのイントルーダーを結んだとき。動画でみて、マテリアルに多少のアレンジを加えて自分なりに解釈したもの。たまたま結んだそのフライで、その川で始めてLサイズのニジマスを釣ることができた。



なんで釣れたのか分からない。ただ、川の中で足元に流したとき、透けた小魚のように見えたのが印象に残った。


それまでの自分は出来上がった写真の表面をなぞったり、マテリアルや大きさだけが気になっていたかも。ふと気になって実際に水の中ではどうなるのかを考えるようになった。例えばエルクヘアカディスなんて、どう見てもカディスには見えない。でも水面に浮かべて下から見上げた水面の凹み具合なんて、羽を広げたゴミ虫や蛾、何となく虫類全体の浮き方に近く感じる。なぜそのマテリアルを選択するのかが大事ではないか。

マラブーはどうだろう。テールを目一杯長くして泳がせたら、ボディに巻いた重りで上下に振れるとき、それはもう驚くぐらいクネクネとした虫とも小魚とも言えない動きをする。この揺らぎはよくできたゾンカーを泳がせたときにもできる。



スカジットシステムと同時期に広まったイントルーダーは、日本ではトレーラーフックのついたフライの総称のようだった。定義も何もあやふやだったから、マテリアルやパターンなんてカオスそのもの。何となくカッコの良い感じを目指すのだけれども中々釣り場では手が出ない。たまによく釣れると聞いたが、あれだけ巻いたのに釣れることはあまりなかった。大きく、派手なフライは侵略者のごとくマスの本能を刺激する、なんて聞いていたりした。冬のやる気無いマスの鼻面を泳がせて口を使わせる。ヘビーなティップで底スレスレにゆっくりとただよわせる。冬から春に向けたウィンタースチールヘッドのためのフライ。サイズは全長15cmを超えたりする。そんなフライを初夏に虫が出ているときに流してもなかなか難しいだろう。



そのうちチューブフライに巻いてみたり、ゾンカーテープを使ったダーティーホーがでてきたり、トラウト向けに小さくアレンジしたのが出てきたり。日本以外でも相当なアレンジが進んでいるのが動画を中心に確認される。



では基本のルールって何?と聞かれると、そんなものはない。釣れた魚が答えだろう。それでも自分なりの拠り所となるポイントがいくつか固まってきた。

1つは透明感。イントルーダー系を巻く人は皆ショルダーにこだわる。ショルダーにオーストリッチなんか乗せると、傘のように開いて、光に透かしたシルエットをみると内側が透けた小魚のボディに見えなくもない。

もう一つはマテリアルの揺らぎ。ショルダーに支えられたオーストリッチは本流の中で本当によく揺らぐ。ゾンカーテープやマラブーだって上手く取り付ければ絡まずによく揺らぐ。これが魚を誘う。泳がせつつ止まった瞬間にホワっと広がり揺らっとクネる。そんなのが理想かな。

あとは色の組み合わせ。アメマスにはチャートリュースとはいうものの、オリーブだって悪くない。ただ、単色よりは組み合わせのほうがアピール力が高い気がする。川底の石や水色、その日の天気から見て判断することも多い。これからはグレーオリーブの他に明るいピンクや白を積極的に試してみたい。


すでに自分が巻いてるのはイントルーダーなのかダーティーホーなのか分からない。トラウトイントルーダーらしきサイズ一般を称して、「自分だけ釣れるフライ」と言っている。

こんなことに注意をしながらフライを巻くと、現地で結びたくなるフライができる。まるで餌が付いているかのごとくマスが飛びかかってきたりするとたまらない。やはりフライタイイングも魚釣りの一部であり、どうやったら釣れるのかを思案しながら作るのが一番楽しい。

2024年10月24日木曜日

秋の本流

 久しぶりの本流。前日の雨で笹濁りと思ったが、朝一流している間に水が増え、濁りもきつくなる。それでもと岸際を丁寧に流すと、黒のロングテイルイントルーダーに小さい鮭がかかった。これで切り上げて大きく移動。



移動は正解だった。さらに水が減った止水での釣りを楽しむことができた。車中泊で朝は寒くてグズグズしていたら、暗いうちから釣りをしていた人より、すでに何匹も釣れたと聞いた。次の機会があれば早起きしよう。ただ、工事の重機が相当入っていた。来年にはまた風景が変わってしまうのだろう。


その翌週。減水した同じランを足元にきをつけながら丁寧に、オリーブのゾンカーイントルーダーで、釣り下る。偶然にも岸際の岩盤の深みでリトリーブ中に重みを感じられた。秋の貴重な一匹。



あちこち回るも思うようには魚と出会えない。ただ、あまり風もなく、軽いラインで少しだけ思うようなキャストができた。オレンジのイントルーダーを小さなアメマスが咥えてくれて、満足感とともにその日を終えられた。


次の日は別のラインを試してみる。ところが、全くラインが伸びない。右手からの向かい風だ。軽いラインは軽快に釣れる反面、風にはとことん弱いことを再認識した。

一歩進んでニ歩下がる。魚だけではない。短い秋の釣りが名残惜しい週末。